少し前ですが、都立学校のイベントに行ってまいりました。
その学校は「中等教育学校併設校」。
つまり、高い人気を誇る、都立の中高一貫校ですね。
力を入れている、らしい
校舎にでかでかと垂れ幕が下がっていまして、「○○部、○○大会出場」とか。
科学教育だか英語教育だかの、指導強化校指定を受けているとか何とか。
まぁ、とにかく都立の中でも、力を入れてるんだろうなーという学校。
思い返せば私が都立高校に通っていた時は、交換留学の制度もなかったし、情報教育なんてものもなかったなぁ。
20年以上も前の話。
時代は変わっているのね。
しかもここ、中学で入ってしまえば高校受験の必要すらない、一貫校でございましょ。
受験勉強に追われずのびのびと、6年間を過ごせるわけでしょ。
さぞかし、教養だけでなく人格も立派に養われていくのでしょ。
うらやましいな、こんな学校に通う子たちは。
と思ってたんだけどね。
聞こえてきた会話
休みの日でも学校に来ている生徒がいるようでした。
そして、イベントの開かれているフロアのトイレに入ったときのこと。
私のような部外者がいることに気づいていない様子で、洗面所辺りでおしゃべりしている声が聞こえてきました。
その中学校の生徒と思しき、女子数名の会話が筒抜け。
その内容が、ちょっと意外というか。
一人の女子生徒が、
「うちのお姉ちゃんが地元の公立中学通ってたんだけど、まじ終わってる。
ほんとああいうとこに通ってる奴ら、民度低すぎであり得ない。
低レベルのやつらが集まっててほんと最悪。
ここ受かってなかったらあの中学に行ってたと思うと、ゾッとする。」
都立の中高一貫校と言えば人気で、競争倍率は5~7倍とか。
有名私立ほどではないにしても、熾烈な受験競争を勝ち抜いてきた生徒のはず。
何があったのか知りませんが、この年代特有のイキり方なのかもしれませんが、こんな尖った発言をするのか、とびっくり。
会話の続き
するとそれを聞いていたもう一人の女子生徒がこう言いました。
「でもさー、そういう最悪な公立中学からでも、塾にも行かずに
都立〇〇〇とか、〇〇とか、〇とかに行くやつが出るのが謎だよねー。」
と、中学からの一貫校ではない、いわゆる都立上位の進学校の名前を挙げています。
「ああー、そういう“化け物”、絶対いるよねー。意味わかんない。」
「何が謎でしょうか。何が化け物でしょうか。何が意味不明でしょうか。
いったい何言ってるのよ、あなたたち!」
と、私としては、もうトイレの個室のドアをバーンと蹴って、開け放ちたい衝動に駆られました。
駆られましたが、まだ用を足している真っ最中なので、今、ここで出て行ったら大惨事です。
いろいろ、人として、大事なものを失いそうです。
個室の中で、モヤモヤ。
「おいこら、聞こえてんぞ」という意思表示の、咳払いぐらいしかできません。
私がモヤモヤしてしまったのは、彼女らと年齢の近い息子がいるからという理由だけでなく、
彼女たちのいう「民度の低い奴ら」が通う公立中学から、塾に行かずに名前の挙がった高校の一つに進学した身として、
なんだか自分のことを「化け物」と言われているように錯覚しちゃったんだと思います。
どこにいようが、周りがどんな環境であろうが、自主的に勉強を頑張れる子はいます。
経済的な理由などで塾に行かせてもらえなくても、
教育に重きを置かない両親のもとに育っても。
自分たちの理解が及ばないからと言って、吐き捨てるような「化け物」よばわりは、心外です。
もし、いい意味で呼んでくれるのなら、松坂のように「怪物」と呼んでほしい世代です。
女子中学生は松坂世代なんか、知らないか。
あれは痺れたわ、PL学園vs横浜高校の延長17回。
ここの子たちは、多くの場合、中学受験のために塾に通わせてもらって、だいぶ恵まれた教育環境があった子たちと推察いたします。
そのありがたみが、まだあんまりよくわからないのかなー。
周りもみんな、似たような境遇の子たちばかりだから、気づく機会もないのかしら。
もちろん本人たちの努力もあったうえで、それだけの学力をつけることができ、受験という舞台で力を存分に発揮できたということ自体が、やはり幸運なことです。
自分の境遇に感謝しこそすれ、その境遇にない人を一括りにして「民度が低い」と蔑むような発言を聞くと、ちょっと悲しくなります。
勉強も大事だけど、人間愛とか想像力とか感謝の気持ちとかも大事だと思うのよ、おばちゃんは。
マウンティング始まる
と、ここで会話の雲行きが変わってきました。
どうやら、会話に参加している女子のうちの一人が、ほかの子よりは成績が少しとびぬけているようです。
その子に向かって、
「でも○○ちゃんは頭いいから、いいよね」
「えー、そんなことないよ。来週のテストヤバい。まじで全然勉強してない。」
「えー、でもいつも1番とか2番じゃん」
はい、出ましたー。
蘇る記憶ー。
何のマウントの取り合いだろう。
「全然勉強してない」アピールする秀才と、
「嘘こけ、ガリ勉」と心の中でこき下ろしてるその友だちと。
うちも高校ではありましたけどね、実りのないこの手の会話。
中学生でもあるんだね。
中高一貫だからといって、やはり高校卒業時には大学受験を控えている身。
ゆっくりのんびり6年間、心穏やかに暮らせてるわけでもなさそうだな、って感じがしました。
いざ、決戦の時
やっとあちらの方はスッキリいたしまして(長い)、身なりを整え、個室のドアを開け、
「ちょっとあなたたち、そういう会話は(部外者のおばちゃんも聞いてるし)気を付けたほうがいいわよ!」
とひとこと、言い放とうとしたのですが。
・・・。
遅きに逸しました。
すでに洗面所にその子たちの姿は見えず。
廊下に影も見当たらず。
だから、トイレが長すぎだって。
ぶつける先を見失った気持ちは、モヤモヤしたまま。
ビバ!公立中学
普通の公立中学は、確かにいろんな生徒がやってくる。
地域によっては荒れているかもしれない。
お金に余裕のある家庭の子、家庭環境に恵まれない子、勉強が得意でない子、事情はさまざま。
実際ね、私の母校の公立小学校・中学校の同級生は、
地元大好きマイルドヤンキーが多く、中には腕に素敵なお絵かきが入っている人もいます(汗)。
たまに開催される同窓会で話すと、確かに私はちょっと浮いています。
でも、だからと言って決して見下したり、距離を置いたりはしないです。
むしろ彼らの話は、社会勉強になって面白いです。
ずっと均質な集団にいたら、つい見過ごしてしまうような視点を与えてもらうこともあります。
そして多少お酒が入れば、当時のバカ話にも花が咲くし。
名物教師のモノマネ大会が始まったら、私だってやりますよ。
癖のあるしゃべり方をする、担任の鉄板モノマネを。
それでみんなでゲラゲラ笑えます。
中学の時から成績でクラスメイトと牽制し合うような間柄だったら、こんなにくだらないことで楽しく笑い合えただろうか。
どうなんだろう。
それともこういうのは、「低レベル」と一蹴されちゃうだけかな。
けっこう、楽しいけどな。
願わくば、あの地元中学をディスっていた一貫校の中学生も、どこかで気づきを得て、その恵まれた環境に感謝できる日が来るといいな。
周りでお膳立てしてくれている人たちがいてこその、今の自分だってことに、いつか気づいてくれる日がくるといいな、とトイレの長いお節介おばさんは思ったのでした。
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