近所のスーパーがね、なかなかクセが強くてですね。
店内に流れる音楽
近所のスーパー、いわゆるチェーン店ではなく、ポイントカードもない、クレジットカードも使えない、地元密着のこじんまりとしたお店なんだけど。
店内に流れている音楽。
あれ、なんていうの、有線?
ずっと似たような歌がひたすら流れているんですね。
で、そのチョイスが独特っていうか。
基本的に昭和の懐メロがガンガン大音量でかかってんのね。
ピンキーとキラーズの「恋の季節」だったりとか。
野口五郎の「私鉄沿線」とか。
たぶんこの店の客層がさ、ほとんどが地域のジジババなんで。
そういう(ちょっと耳も遠くなった)客層に喜んでもらうための、大音量昭和歌謡ヘビーローテーションなんだと思う。
だいたい歌えてしまう私
私、小さいころ母に「あなたは耳がいいわね」と驚かれるほど、どこかで聞いた曲や歌をすぐ覚えてしまうという特技があって(今は無理)。
しかも、家ではテレビで「ものまね王座決定戦」とか「懐かしの名曲」みたいな番組をよく見ていたせいで、けっこう古い歌を知ってるんですね。
で、社会人になった私は、新人なのに明菜ちゃんとか百恵ちゃんとか、カラオケでおじさん受けする選曲して歌い上げていました。
だいぶ偉い人にも「君、若いのによく知ってるねー」とかわいがってもらいましたよ、ええ。
昭和のヒット曲って、すごくキャッチーだし、イントロからインパクトが強くて、サビも気持ちよく歌えるから、耳に残るんだよね。
家に帰ってからも、しばらく頭の中で鳴りやまなかったりする。
だから近所の爆音昭和歌謡スーパーに行くのも、これはこれで結構楽しみにしてるんです。
この曲だけは無理
だけど、この曲がかかったときは、さすがに無理だったよね。
ご存じの方も多いと思う。
「お前を嫁にもらう前に、言っておきたいことがある」で始まる歌。
にゃんぱく宣言の方が最近は有名ですかね。
あっちは猫ちゃんの安全のために正しいことを歌っていて、かわいいんだけどさ。
オリジナルのこっちはなかなかすごいんだよ、前半の歌詞が。
ちょっと抜粋するね。
「俺より先に寝てはいけない 俺より後に起きてもいけない」
「姑 小姑 かしこくこなせ たやすいはずだ 愛すればいい」
「俺は浮気はしないと思うが ちょっと覚悟はしておけ」
「お前は俺のところへ家を捨てて来るのだから 帰る場所はないと思え」
無理無理無理無理。
あー、やだ、じんましん出てきそう。
ほんっと、現代だったらパチパチと音を立てて、よく燃えそうな歌詞ですね。
この曲を支持する人は、「いいから黙って曲を最後まで聞け」と言う。
最後には、「俺の愛する女は生涯お前ただ一人」で締めくくるから、心の奥底では奥さんを愛している、男の気持ちを歌った、いい歌なんだと主張する。
結婚前に男らしいところを見せようとしている、家族を背負う覚悟を歌った、健気な愛の歌なんだと擁護もする。
さだまさしという人は本当にすごい人で、この人だから成立する歌であることは確かです。
実際ヒットしたし、そこはさすがに認めてます。
でもね、もはや、そういう問題じゃないんだよ。
曲の構成上、この吐き気のするAメロは、後半に盛り上げてぐっとこさせるためのフリなわけで、だからこそだいぶひどいことをわざと歌っているんだけど。
すでにそれが私の許容範囲を超えちゃってんの。
この歌詞を聞くだけで、おぞましいと感じない現代女性がいるんだろうか?
私は無理です。
とにかく無理です。
これが愛情の裏返しだと言うのなら、そんなめんどくさい男はいりません。
聞いているだけで胃のあたりがムカムカ気持ち悪くなって、とにかく早く会計を済ませ、店を飛び出しました。
トラウマ蘇る
でね、この曲が店内でかかったときに、急にフラッシュバックしてきた記憶があるんです。
夫の一コ前に付き合ってた彼氏が「この関白宣言って曲、すごくいいから聞け」って言ってたの。
うああ、鳥肌立ってきた。
ぞわぞわするー。
そいつ曰く、「この曲の表面的なところを捉えて、さだまさしが本当に言いたいことをつかめてない奴が多すぎる」って。
いやいや、無理だろ。
妻になる人に向かって、人権侵害みたいなことほざいて、それでも俺が仕事してお前を養っている=愛している、だからすべて許されるはず、という神経が無理なんだって。
妻に強いている負担と、その見返りがアンバランス過ぎるんだって。
亭主関白とか、何言っちゃってんの?
曲が作られた当時はそれでもよかったかもしれないよ?
今はもう、そういう時代じゃないからね。
それよりなにより、
我慢強く最後の歌詞まで聞くまでもなく、
曲の全体像をとらえるまでもなく、
意図を深読みするまでもなく、
妻を「お前」と呼んでる歌い出し時点でアウトなんだよ、こっちはよ!
それなのに、たいして私と年も変わらないのに、この曲を是とする感覚の男とは、本当に別れて正解だと思った。
つーかなんでそもそも付き合ってたのか謎。
どこがよかったんだ、あんな男の。
消し去りたい過去。
人生の汚点。
黒歴史。
あぶなかった
急いで家に帰って、買ってきた刺身と豆腐と野菜を冷蔵庫にしまい込みながら、しみじみ思いました。
「今の夫と結婚出来てよかった…」
夫は私をお前と呼ぶことは一度もなく、虫も殺せない優しさでできている人です。
もし、血迷ってあの「関白宣言いいんだよ男」と結婚してたらと思うと…。
「…あっっぶねぇぇー」
余談なんですけど、その後、この関白は失脚します。
ざまぁ(笑)
綾小路きみまろ並みに、おばさん化した妻をディスった後、いい人生だったと1人で悦に入り、最後は濡れ落ち葉が、自らを、みんなを鼓舞しまくっている(マジウケる)。
やはり茶目っ気ある歌い出しで始まり、ラストを感動的に持っていくさだまさしの技量はすごいし、素敵な歌だと感じる方もいると思いますが、ごめんなさい。
やっぱり私には無理です。
↓いろんな形があっていいと思うけどさ。
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