毎朝、地下鉄を乗り換えて職場まで行っています。
ある朝の光景
いつも、駅直結の商業ビル内を通って、乗り場まで行くんですが、途中に階段がありまして。
この階段、微妙に大人2人が並んで歩けるぐらいの幅しかないんですね。
大多数が地下鉄乗り場に向かう方向に下りていく人たちなんですけど、当然反対側から階段を上ってくる方も、ちらほらといるような状態。
はい。
そこで、私たち階段を下に降りていく人たちは、どうするかというと。
1列に並んで長蛇の列となり、下から上がってくる人たちのために階段の半分を空けて、ゆっくり進むという行動になるわけです。
それがね、こないだ。
外国人と思しきお兄さん2人が、おしゃべりしながら階段を下りて行く方向に歩いていました。
ちょうど反対側から上がってくる人の流れが一瞬だけ途切れていたこともあり、スイスイと、並んでいる日本人の横を通り抜け、階段を軽やかに下りて行ったんです。
うん。
別に、そうするよね。
だって空いてんだから。
片側通行しなくちゃいけないという厳密なルールがあるわけではなく、ただ「慣習的に」日本人は並んでいるだけだから。
まぁ、案の定、お兄さんたち、階段の途中で下から上がってきた対抗車線(?)の人とぶつかりそうになって、体を横にして避けていましたけど。
日高屋の労組
中華料理チェーンの「日高屋」で、組合員の約3分の1を外国人従業員が占める労働組合が結成されたという報道がありました。
待遇改善などを求めて労使交渉していくのでしょうか。
これがどういうインパクトをもたらすのか、とても興味があります。
海外の労働事情
勤め先は日本企業ですが海外に事業所が複数あり、現地で人を採用しています。
その際、現地の労働法制が適用されています。
日本にだって労働基準法があるように、どこの国にも守るべき労働者のための法律があり、細かな違いはあるけど、まあだいたい似たような規定で労働者の権利を保障しています。
しかしながら、見ていて何が日本と一番違うかっていうと、労働者が権利を主張するかどうかという、制度の先にあるところ。
たとえば、日本では義務化しないと消化されない有給休暇。
現地では年間30日もあって、しかも100%取るのが当たり前だったり。
(これは余った有給の買取が会社に義務付けられている場合もありますが)
残業代って、通常の時給に125%ぐらいで上乗せされて計算されていると思いますが、それがはじめっから150%とやたら手厚かったり。
休日だと200%、300%という国もあるとか(だから人件費がかさむので極力残業させない)。
「こちらにはこちらのやり方があるし、日本の常識が通用しないんですよ」
と駐在している社員の方がため息交じりに話しているのをよく聞きます。
外国人を雇って働かせる、ということのむずかしさを日々、痛感しているご様子。
きっと彼らは手ごわい
今後、日本全体で、人手不足解消のために外国人の受入が本格化していきます。
もしもですけど、こういう相対的に使用者より労働者が強い文化の国からやってきた人たちが増えて、強く主張されたら、日本の企業は、経営者は、人事課は、太刀打ちできるのでしょうか。
するすると地下鉄への階段を、並んでいる人を抜かしていった2人組のお兄さんたちには、周囲にいる誰も注意することも咎めることもできません。
だってその行いを禁止する明確なルールなど存在しておらず、日本人が列をなしているのは
「なんとなく、みんなが並んでいるから。抜かしちゃまずい雰囲気だから」
という遠慮や忖度以外の、何物でもないからです。
給料が上がらなくても羊のようにおとなしく働く日本人は、ストライキを起こす権利も有給消化する権利も持ってはいるけれど、周りの空気を読んで、行使しない。
そのおかげで日本企業は比較的、波風の立ちにくい労使関係を築いて、人を使うことができていました。
ところが、制度があるなら当然のように活用する、権利は主張しないと守られない、という海外からのモノ言う労働者は、きっと日本人が気にしている遠慮とか、忖度とか意味不明だと言うでしょう。
有給はきちっと使い切り、サービス残業なんてもってのほか。
あまりに労働がきつかったら、「給料上がるって言うまで働きません」と言って、開店しない飲食店とかも出てくるかもね。
昔ヨーロッパを旅行していて、公共交通機関がたびたびストをやっていて、ホテルに帰るのにも難儀しました。
「なんちゅう国だ、ちゃんと働けよ」
と思ったことがありますが、それが向こうじゃ当たり前。
社会全体も「まぁストだから、不便だけど仕方ないよね」という雰囲気だったなー。
どうなっていくかな
どっちに転ぶかわかりませんが、外国人も加わった労働組合が組織されていくことが、日本の働き手全般にとって、働きやすく、休みやすく、給料が上がりやすい社会につながっていくといいなと。
経営者の側は大変でしょうが。
守られてきた暗黙のルールや、同調圧力からの遠慮、一方的に労働者が我慢してきた意味のない慣習が少しは変わっていくかも。
もしかしたら、その流れへの契機になるかもしれない、と思ってちょっとひそかに期待しています。
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