私が占いというものを信じない理由。ある身内の視点から

家族

突然ですが、占いは信じません。

運命は自分で切り開くものだから、とかそんな素敵な理由ではありません。

なぜなら。

私の祖母が占い師だったからです。

占いというものを近くで見て育ったからこそ、そう思うんです。

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占いもビジネスだからね

占いっていうと、最近あんまり見ませんが、道路に机置いてお客さんが来るの待ってたりとか?

ちょっと有名になって「どこどこの母」とか呼ばれるようになると、お店を構えたりできるようになります。

 

祖母は都心の一等地に自宅を持ち、その1階の半分くらいをカーテンで仕切って、そこを仕事場にしてお客さんを占ってました。

私の小さい頃は、祖母の家にたまに遊びに行くぐらいでしたが、いつも誰かしらがお客さんとして座っていたように記憶しています。

 

占いにもいくつか種類や流派がありますね。

私は詳しく知らないですけど、祖母のはいわゆる占星術とかタロットカードとかではなくて、気学とか易学とか四柱推命とか、そっち系です。

しかもその方面で祖母はどうやらお師匠さん的な人で、一時期はお弟子さんを何十人と抱えて、勉強会を自宅で開いていました。

お弟子さんというのも、元々は祖母のところへ占ってもらおうとやってきたお客さんたちだったようです。

 

で、占いだけにとどまらず、祖母は自宅では熱心に仏壇の前に座って念仏を唱えてる人でもありました。

それでなんでしょうか。

月に1回ぐらいのペースで、お弟子さんたちをぞろぞろと引き連れてバスをチャーターし、全国のお寺さんとか、神社とかを参拝するツアーも企画していました。

私も幼稚園児ぐらいの時から参加させられました。

祖母はご先祖様を大事にしないと不幸せになる、というようなことをしょっちゅう言ってましたね。

 

かなり押しの強い性格の祖母は、そうですね、ちょうど細木〇子さんみたいな感じです。

はっきり断定したものの言い方をするので、人によってはそれが「カリスマ的」「この人についていこう」と思わせる雰囲気を持っていたのだと思います。

 

今ちょうどオウム事件の報道が多いので思い出すんですが、ちょっとね、うちのばあちゃんも一歩間違えれば教祖っぽい感じになってたかもしれません。

流石に変な壺とか売りつけたりとか、怪しい修行させたりとか、高額なお布施を要求したりはしていなかったようですけど。

でも慈善事業ではないので、勉強会も会費制だったでしょうし、占いの本や暦をそのお弟子たちが買えば、いくらかは祖母に入ってきてたはずです。

神様仏様に拝めば幸せになれるみたいなことを言ってバスツアーの参加費も集めてたと思うのです。

 

まぁ、つまり、祖母がやってたのは立派なビジネスだったわけですよ。

実際、彼女は若い時に夫に先立たれてから、占い以外にも働きながら、女手一つで子どもを育てあげたんです。

あの時代、それはそれで結構大変なことだったと思います。

占いの裏側をぶっちゃけると

占ってほしいというお客さんは悩みがあったり、迷いがあって祖母の元を訪れます。

大体の悩みは、似かよった内容です。

人間の悩みに、奇想天外な、唯一無二の悩みなんてないんです。

せいぜい家族か恋愛か仕事の悩みです。

 

それにお客さんはね、実は占ってほしいんじゃないんです。

お客さんの中にはもうすでにぼんやりとでも「答え」があって、でも自信が持てないから、その背中を誰かに押してほしいだけなんですよ。

で、細木さんみたいな祖母が、悩みを聞いているうちにその人が望んでいる「答え」を探り当てて、最後にズバッと断言してやると、次の行動に移れるんです。

それは自分が無意識でも行きたかった道だから、たいていの場合、「占ってもらってよかった、あの人の占いは当たる」となって口コミで広がっていくんです。

占い師に必要な職業上の能力というのは、お客さんが「なんて言ってほしいのか」を探り当てる嗅覚だと思います。

 

で、そのお客さんは、「神様仏様ご先祖様を大事に」という祖母の考え方や信条に共感を覚えて、喜んで本や暦を購入し、勉強会に参加し、バスで参拝するツアーの料金を払うんです。

その様子を、幼い私は祖母の家に遊びに行くたび、お寺や神社に連れて行かれるたびに目の当たりにしていました。

言葉は悪いですが、人の悩みにつけこんで、自分の顧客として取り込んで行き、弟子というリピーターに育て上げて、さらに口コミで新規の客を連れてくる。

そんなビジネスモデル。

 

お弟子さんというのは中年の女性が多かったです。

実際には勉強会で集まればコミュニティが生まれるし、バスツアーではパワースポットを巡って美味しいご飯を食べて参加者同士でたくさんおしゃべりして、お弟子さんたちはみな満足そうでした。

祖母の占いが当たっていたのかどうかは分かりませんが、まぁ皆さん「そこそこ幸せ」と感じていたのでしょう。

そういうあんたはどうなんだ

ただ、祖母は家族に対しても、ああしろこうしろとうるさい人でしたから、私もだんだんと批判的な目で祖母のことを見るようになります。

祖母の性格は私の父とも合いませんでした。

父も専制君主的な、「俺のいうことは絶対」という人でしたから。

父の人柄はこちらの記事にも書きました。

「収入がある=心の安定」が刷り込まれた子ども時代
私が、子どもがいても仕事が大変でも働き続けるのは、「収入がある=心の安定」という信念を手放せないからかもしれません。それは子どもの時の体験によるもののような気がします。

ぶつかり合うのは当然です。

 

小学生の時、引っ越しすることになり、祖母も含めてみんなで住む家を建てることになりました。

土地の選定、部屋の間取り、引っ越しの日取り、すべて祖母の占いによって決めました。

注文住宅ですごく時間をかけてすべての祖母の意見を設計図に落とし込み、家が建ちました。

家相としてもさぞかし良い家のはずです。

理論上は、みんなが幸せになれるはずの家です。

しかし、そこに住んでいる家族(正確に言うと、もともと仲の良くなかった私の父と祖母)が、言い争いばかりしていました。

 

占いという名のビジネスで成功し、完璧な家相の家に住んでも、彼女が晩年幸せなオーラをまとっていたことは、あまりありません。

いつも家族に対して不機嫌そうに小言を言い、馬の合わない息子とは言い争いが絶えず、ほかの家族からも疎ましがられていた祖母の姿は、「家族に愛されて幸せな老後を送るかわいいおばあちゃん」とは、かけ離れていました。

近くで見ていた家族であるがゆえ、そこそこ他人様からは尊敬を集めていた祖母の占いの限界を私は知っています。

 

だから、人の悩みや迷いを飯の種にした、「私の言うことを信じれば、あなたも幸せになれますよ、お金を払ったらもっと幸せになれますよ」といったウマい話には私は懐疑的です。

偉そうに講釈たれてるアナタはプライベートで本当に幸せな人生を送れてるんですか?と、祖母の姿を重ねて冷めた目で見てしまうからですかね?

絶対間違いない話だと断定的なモノの言い方をする人よりも、信じるか信じないかはあなた次第です。と言ってくれる、「やりすぎ都市伝説」の方がよっぽど信頼できる気がしますよ。

 

でもまあ、方法はどうあれ、世間の荒波を乗り越えたシングルマザーの祖母がいたから今の私がいるのも事実なわけで。

「ご先祖様は大事にしないといけない」のはその通りだと思うんで、近いうちにばあちゃんの墓参りに行ってこようと思います。

 

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プロフィール

都内在住のアラフォーのワーママ。
フルタイムのオフィスワーカーです。
夫と男児2人(中学生と小学生)の4人家族です。

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