小学生の息子が、同級生の家庭の話を、面白おかしく話していました。
同級生のご両親
息子の話によれば、その同級生のお家では、お父さんとお母さんの夫婦げんかが日常的に起こるらしいです。
些細なことで口論になり、ヒートアップし、「最終的にはビールの空き缶が飛ぶんだって!」と。
そしていったん口論が始まると、その同級生とお兄さんとで、どちらが先に風呂場に避難できるかの競争が始まるんだとか。
それをね、あっけらかんとね。
「そんな家があるなんて、信じられないでしょ!」という風に話すうちの息子。
笑えない
息子のエピソードを少し遠くで聞きながら、
「そのお宅で飛んでいるのはビールの空き缶なので、誰も怪我しなさそうだな。後片付けもそんなに大変そうじゃないな」
などと考えていた私です。
私が幼かった時、実家では皿が飛んで、割れていましたのでね。
うちの実家の場合は、父親がとにかく一方的に大声を出して暴れていたので、口論という感じではなかったけれど。
父親がキレると、別の部屋に逃げ込んで、怒鳴り声が聞こえないように耳を塞ぐ幼少期でした。
ああ、思い出したくもない。
息子が話しているところに真顔で出て行って、
「あのさぁ、面白おかしく話しているけど、全然笑えないよ」
と伝えました。
別に息子も悪気があって言っているのではありません。
「ああ、そうか…」
と彼もすぐに分かったようなので、それでいいのですけど。
「お父さんとお母さんが仲が悪い家とかもあるんだなって思って」
そうだね。
うちは幸い、夫婦げんかがほとんど起こらない家だから、わからなかったよね。
ある意味、こんなに無邪気にその話をできるのは、わが子が幸せな家庭に育っている証拠かもしれません。
だけど、世の中みんな仲良し家族ってわけじゃない。
その話をお友だち本人が明るく話したのかもしれませんが。
お父さんとお母さんが仲が悪いところを見るのは、どんな気持ちだろう。
一触即発の戦場みたいなおうちに育った子が、どんな気持ちで日々をやり過ごしているかに、少しでも思いを巡らせてみようね。
可哀そうだから同情する、というのともちょっと違う。
友だちがそういう話をしたければ聞いてあげるし。
したくないんだったら無理やりこじ開けようとはしない。
小学生にはなかなか難しいことだとは思う。
ただ、それをどこか別のところで、面白エピソードみたいに語るのは、違うよって。
今の環境に感謝できること
子育てにおいて最近、すごく気を付けたいと思うのが
「この恵まれた環境を当たり前だと思うなよ」
ということを子どもに伝えることです。
別に親として威張り散らして、何不自由なく養ってやってるんだからお前ら感謝しろよ、ということではなくて。
世の中には自分と同じような境遇ではない子たちがたくさんいる。
それはもちろん、上にも下にもいる。
たまたま生まれ落ちた場所による有利不利があって、はじめっから横一列のよーいどん!な平等な世界ではない。
だから、何不自由なく育った自分には理解の及ばない環境で、苦しんでいたり、頑張っても追いつけなかったり、そもそも力を発揮できなかったりする人がいるのを、意識できる大人になってほしい。
この社会には、見えていないだけの、いろんな側面があるということに気づいてほしい。
で、それでも少なくともチャンスだけは均等に与えられるような社会になるにはどうすればいいのかを考えてほしいな、と。
その子に伝えてほしい
さてその同級生ですが、聞いている限り、さしあたって家庭内暴力が起こっているという感じでもありません。
そうである以上、いますぐにどこかに通報という事態でもなさそうです。
よそのおうちのことなので、私にも息子にも、口を出す資格も何もありません。
ありませんが、息子には、友だちとして、
「両親の仲が悪くてつらいね。でも、その子自身は何も悪くないんだよ」
って伝えてあげて、と。
で、苦しくてしんどそうだったら、誰か信頼できる学校の先生やスクールカウンセラーさんに相談するように伝えてあげて、と。
かつての「そういう家庭」サバイバーからの伝言を頼んだのでした。
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