子どもが勉強したら「ごほうびをあげる」のは本当に逆効果なのか?

子育て

あなたのお子さんは、勉強が好きですか?

自分から進んで宿題や家庭学習に取り組めていますか?

それとも叱らないと机に向かえないタイプですか?

子どものやる気を出すために、テストや通知表の成績がよかったら何かごほうびをあげていますか?

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報酬とモチベーションの関係

うちの旦那さんは子どもの頃から、通知表の成績が良いとわざわざ親やおばあちゃんに見せに行き、「がんばったからごほうびちょうだい」とおねだりする、なかなか図太い子だったそうです。

それでも県下一の進学校から国立大学にストレートで入ったとドヤ顔で言っていますので、それはそれなりに効果があったのかもしれません。

 

でも、子育てに関する本などを読んでいて気になることが。

心理学の研究などから、報酬を与えるとかえってモチベーションが下がってしまう、という知見が増えているのだそうです。

 

子どものやる気を引き出すため、ごほうびをあげるのはアリなの?ナシなの?

適切なごほうびのあげ方はあるの?


好きなことに対して報酬をもらうとやる気が萎える!?

心理学の本を読んでいると、「アンダーマイニング効果」という言葉が出てきます。

これは、私たちが自らすすんでやっていることに対して、お金などの報酬が与えられると、一時的にその行動は増えはするものの、今度はその報酬が減ったりなくなったりするとやる気が失われて続かなくなってしまう、というものです。

たとえば、単純に本人が好きで絵を描いているところに、「もっと上手に描けたらごほうびあげるよ」というと、短期間は絵を一生懸命描くけれど、今度はそのごほうびがないと絵を描く意欲がなくなってしまうと。

 

お小遣いをもらう、ほしいおもちゃを買ってもらうなどの、外部から与えられる報酬に頼った行動をしていると、ずーっとその報酬をもらい続けなければ、継続させることができなくなってしまうのだそうです。

しかも、報酬に対してもっともっと、と欲求が高まり、徐々にもっと高価なプレゼント、高額なお小遣いへと引き上げていかなければならなくなり、長続きさせることは難しい。

「何にももらえないなら、もう僕勉強なんかしない!」と言い出しかねないわけですね。

 

他方で、誰から言われたのでもなく、自分で進んでやりたくなるようなことなら、充足感や達成感といった自分の心の内部から湧き出る感覚が報酬となっている。

だから継続させることができる。

 

そういう本を読むとなるほどな〜と思い、闇雲にごほうびに頼るのはよくないな、と。じゃあ自分から自主的にやるようになるまで待って見守ろうかな、と思うのです。

 

でもさ、

いつまで待ってもやらない子だったら?

 

 

自分の子がろくに勉強せずに、どんなひどい成績をとってきても、黙って見守っていられる母親の方が少ないと思うんです。

やはりある程度、親からの働きかけだって必要という気がします。

 

ではどうしたら、いつまでたってもぼーっとしているわが子が、やる気を出してくれるようになるのか。

本当に、目に見えるごほうびなんて役に立たない、と言い切れるのか。

「小さな」報酬はむしろやる気を引き出す

調べてみたところ、最近の研究結果では、目に見える報酬の全部が全部、やる気を阻害するわけではないことが示されています。

小さな、取るに足らない程度の報酬であれば、自律的なモチベーションを損なわず、むしろ高めることができる」のだそうです。

 

こんな実験がありました。

学生を2グループに分けた実験で、任意で課題を提出させます(提出しなくても構わない)。

一つのグループには課題を提出するごとに、0.7点というわずかな、大した差にはならない程度のボーナス点を与えます。

もう一つのグループにはボーナス点はなし。

結果、ほんのわずかなボーナスをもらったグループの提出課題の数が、ボーナスをもらえないグループの4倍だったそうです。

さらに、ボーナスのあるグループの自主的な学習意欲まで高まったとのこと。

 

DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビューの記事に詳しい研究結果が解説されています。

「小さな報酬」が学習のモチベーションを高める | 戦略|DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー
外発的報酬は内発的動機を損なう、という知見が近年増えている。しかし新たな研究によって、「きわめて小さな報酬であれば、むしろ内発的意欲の向上と行動変革につながる」という結果が示された。

これはつまりどういうこと?

でも、不思議ですよね。

わずかなボーナスをもらったぐらいでは、学生たちの意欲を高めるほどの効果がありそうには思えませんが。

 

実は、0.7点というわずかな報酬は、あまりにも小さくて、それだけではがんばって課題へ取り組もうとする努力を完全に正当化することができないのだそうです。

 

「あれ?私なんでこんなに一生懸命がんばってるんだっけ?」となってしまう。

 

そこで、課題に取り組んでいる自分の努力は正しいんだ!と思えるような、何か別の動機があるはずだ、と考えるのだそうです。

その、「何か別の動機」というのが、達成感とか充足感とか知的好奇心とかの自分の心の内部から湧き出る感覚と思い込む。

それが、自分から進んで学習しようとする意欲となって現れていた、というわけです。

人間の心って不思議ですよね。


勉強したらごほうび、は悪いことではない

勉強にごほうびなどの報酬を与えること自体は、必ずしも悪いことではなさそうです。

もし、お子さんがごほうび目当てに勉強していて、なかなか長続きしないようなら、ごほうびの「大きさ」に気を付けてみたらいかがでしょうか。

 

その報酬の大きさを、取るに足りないほど小さく小さく設定しなおしたら、「自分からやりたい!」という学習意欲を邪魔することなく、勉強に取り組むことができるかもしれません。

 

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プロフィール

都内在住のアラフォーのワーママ。
フルタイムのオフィスワーカーです。
夫と男児2人(中学生と小学生)の4人家族です。

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